初めに
新入生と話していて、ランクがなんなのか分からない、といった声を聴きました。というわけで今回はランクについてまとめていきたいと思います。今回まとめるのは線形代数の概念を使わない直観的な理解を目指します。線形代数の概念を導入するのはその2以降から、ということにしたいと思います。
ランクと連立方程式
まず初めにランクと連立方程式についてみていきたいと思います。連立方程式からみたランクは対応する連立方程式が最小の連立方程式の個数、ということができます。
このときのrankAは2となります。このときには最小でも2個の連立方程式としかみなせません。
ではどのようなときに最小の連立方程式の数と今の連立方程式とが不一致となるのでしょうか。
この連立方程式は下の連立方程式が上の連立方程式の2倍となっています。このとき実質的にこの連立方程式は一つの連立方程式とみなせます。
もちろんこの連立方程式は一つなので解くことができません。
次に変数が三つの場合について考えてみます。
連立方程式が3つの場合は一目では分かりづらいかもしれません。このときのrankAは2です。なぜなら(二番目の式)-(一番目の式)で最後の式を導くことができます。よって二つの式とみなせます。
ですが一つ目の式をどう定数倍しても二つ目の式にすることができないのでそれ以下の式とすることはできませんよってrankA=2となります。
こういった風にある程度慣れれば、3×3の行列を見た瞬間にランクを判断することができます。
次のもマイナーですが、3×3行列のランクを今度は定量的にも知ることができます。
ベクトルとランク
もちろんランクはベクトルとも関係あります。
行列を行ベクトルでこういう風に表したいと思います。
こうしてあげたときランクを次のように言い換えることができます。ある一つのベクトルが他のベクトルたちの線形結合で表せない最大のベクトル数、と言えます。
線形結合というのは定数倍されたベクトルの足し算のことです。
という形でaベクトルが表せるとき、aベクトルはeベクトルの線形結合で表せる、といいます。
上の例ではaベクトルはbベクトルの線形結合で表せません。なのである一つのベクトルが他のベクトルの線形結合で表せない最大のベクトル数は2となり、rankA=2です。
ではほかのベクトルたちの線形結合で表せる例を考えていくとこうなります。
このときaベクトルはbベクトルの1/2倍となります。よって線形結合で表せます。
ある一つのベクトルが他のベクトルの線形結合で表せない最大のベクトル数は1となりrankA=1です。
このとき次のようにa3ベクトルはa1ベクトルa2ベクトルの線形結合で表せます。
よってa2ベクトルがa1ベクトルで表せるかどうか調べてみればいいですが明らかに線形結合で表せません。よってある一つのベクトルが他のベクトルたちの線形結合で表せない最大のベクトル数は2です。rankA=2となります。
もっと定量的に見てみたいときは
とおいてあげてx,yがちゃんとした数をとるかどうかをみてあげるとよいです。そうすると線形結合をするかどうか確かめられます。
意外と長くなってしまったのでここでいったん締めようとお負います。またすぐに更新します。
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