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執筆者の写真umi

行列式のまとめ1

初めに

線形代数の分かりにくい行列式をイメージできるようにするために作ったページです。なるべくわかりやすくまとめたつもり(汗)です。読んでみてくれると嬉しいです。



行列式の一般的定義

detAを行列式とすると以下の表式を持つ。

とりあえずこの式を見ていくとなんのことだか分からないと思うので、もっとわかりやすい定義式を考えていきたいと思います。



行列式のimplicitな定義


このときこのベクトルを変数とする関数detAを考える。この関数が以下の性質を持つとき、detAを行列式と呼ぶ。

(i) 交代性を持つ。

(ii) 多重線形性を持つ。

(iii) 規格化条件を満たす。



特にn=2の時は、問題No.6のようになります。


No.6


この三つの条件が何を意味するかというと符号の持つ二つのベクトルのなす符号付き平行四辺形の面積を示します。



(i) 交換性を持つ。

これは平行四辺形の面積が符号付きであることと対応しています。このベクトルのなす平行四辺形の面積は右ねじの法則に対応しています。なのでベクトルを入れ替えると符号も入れ替わります。


(ii) 多重線形性を持つ。

多重線形性をもつことは片方のベクトルがk倍されると、それら二つのベクトルのなす平行四辺形の面積もk倍されることから明らかです。


(iii) 規格化条件を満たす。

互いに直交する単位ベクトル同士のなす平行四辺形の面積は1です。



二次元の時の行列式の値

No.6の解答はこういう風になります。

detA=ad-bcです。この値はこの後にも使っていくので覚えておいてください。



もう一つの行列式のイメージ

実は行列式がなんのために生み出されたかというと、こういったベクトルたちのなす平行四辺形の面積などといったなんの役に立つのか分からないものではなく、連立方程式が解けるかどうかといった判定のために作られました。(と、聞いたことがある)

これを見てあげればわかるようにdetA=0の時この連立方程式は解けません。これをn個の連立方程式に拡張してあげたものが一般の行列式となります。


このとき行列式は連立方程式を解いてあげたときの解の分母といってあげることができます。そうするとdetA=0ではこの連立方程式が解けないことも説明できます。


ではdetA=0のときは何が起きているのでしょうか。

となります。つまり①の式の定数倍の式が②の式となっているわけです。この場合別の式ではなく同じ式のように見なせてしまいます。連立方程式は一つの式では解けません。(そもそもそれは連立方程式の連立ではありません)


発展的な内容になりますがdetA=0のとき②を①の定数倍と考えることは幾何学的意味から考えても明らかです。x , yを基底ベクトルと考えてあげるとdetA=0ではその二つのベクトルのなす平行四辺形の面積は0ということですから片方のベクトルは片方のベクトルの定数倍とみなせます。ちょうど二つの間の角度θ=0ということです。


逆行列と行列式の関係

逆行列の行列式を使って表してあげると、

detA=0のとき逆行列は存在していません。これはさきほどの連立方程式の話を考えてみると分かりやすいです。

つまりは連立方程式の解が存在しないときと逆行列が存在しないときの条件は同じでいいわけです。よってあのような表式になります。


ある行列Aに逆行列が存在するときAが正則である、ということがありますが今の議論を使ってあげるとAが正則であるときdetA≠0となります。



とりあえず今回の更新はここまでです。



というのもまだ置換の問題などに触れてないため、n次元に拡張して考えるのはちょっと後にしたいです。今日の問題の置換が追加された後に、また更新すると思います。余因子展開の辺りもそのあとで触れていきたいと思っています。

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